「50代で転職先を探しているけれど、病院以外にどんな職場があるのだろう」
「介護業界の仕事が気になるけれどどんな仕事内容なの?」
と思われていませんか?
この記事を読んでわかること
・デイサービスやデイケアとは
・デイサービスやデイケアで50代看護師が働くメリットとデメリット
・50代看護師がデイサービス・デイケアで求められているもの
2025年には超高齢化社会になることが予想されています
看護師を30年以上やってきた、デイケア経験者の筆者が
デイサービス・デイケアという通所介護のことを詳しくご説明します
デイサービスやデイケアでの看護師の仕事がどういうものなのかが分かります
あなたも充実したワークライフバランスを手に入れましょう
デイサービス・デイケアとは
「通所介護」は介護保険のサービス
デイサービスやデイケアは「通所介護」という介護保険制度のサービスです
通所介護の事業は、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅におい て、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指 し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身 の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない
引用:厚生労働省 通所介護及び療養通所介護
デイサービスやデイケアは介護保険のサービスで、日帰りで療養やリハビリテーションを行う施設です
通所介護の目的
デイサービスやデイケアは以下のような目的で行われています
・孤立感の解消
・心身の健康保持
・家族の負担軽減
・身体機能の維持・回復
・認知機能の維持・回復
利用者の特徴
通所介護(デイサービスやデイケア)の利用者さんはどのような方が多いのでしょうか
通所介護の対象要介護者は介護保険の認定を受けた「要介護者」です
以下のような日常生活が困難な状態の高齢者が利用されます
・一人で食事を作る
・一人で入浴をする
・一人で家事をする
・外出で外出をする
・家族が仕事などで介護が困難である
これらは一例となります
「通所介護」のサービス内容
通所介護では、要介護状態にある高齢者が可能な限り自宅での生活を送れるようにすることを目的としています
おもなサービス内容は以下の5つです
①入浴
要介護状態の高齢者が対象のため、入浴が困難な利用者さんが多いです
安全に入浴ができるよう、スタッフが援助します
施設によっては、浴槽の出入りが困難な利用者へ機械浴での入浴を行います
リフトなどを使用し、安全安楽に入浴が可能です
②排泄
歩行が困難な方や見守りが必要な要介護者の方が多く、おむつ使用の利用者さんも来られます
安全・安楽に過ごしていただけるようサポートします
③食事
要介護者にとっては食事の準備や後片付けも大きな負担となります
通所介護の利用中は栄養バランスのとれた食事やおやつを提供します
麻痺があって食事動作が困難な方へのサポートを行ったり、食事中に誤嚥がないか見守りを行ったりします
④機能訓練
機能訓練とは要介護者の身体機能の改善や減退予防を目的とした訓練のことです
高齢者ひとりひとりの身体状況や目標に合わせてメニューを作成し実施します
体操や歩行訓練・個別訓練やレクレーションなど施設によってさまざまです
中にはカラオケや陶芸教室・脳トレや将棋など利用者さんが楽しく通えるような工夫がされています
⑤送迎
要介護者では足が不自由なかたも多く、移動が困難です
通所介護に通うために送迎車両で送り迎えをしている施設がほとんどです
利用者の身体状況に合わせてに安全に通所していただきます
デイサービスとデイケアの違い
デイサービス(通所介護)とデイケア(通所リハビリ)はどちらも日帰りで通う施設です
デイサービスは入浴や食事などの日常生活の介護が中心となるのに対し
デイケアはリハビリが中心となります
どちらも施設ごとに特色あるサービスがあり、機能訓練特化や認知症ケアに特化した施設などもあります
病院やクリニックとの違い
デイサービスやデイケアで勤務する時と病院やクリニックで勤務する時の違いは、医師が常駐してそのつど指示を仰ぐのではないという点です
事前に医師からの指示書をもらいますが、利用者さんに変化があったときは看護師の判断を求められます
また連携している医師への報告・相談やご家族とのコミュニケーションが必要になります
日頃からの利用者さんの状態を観察し、変化に気が付いてあげられることが重要です
デイサービス・デイケアで働く看護師のおもな仕事
デイサービス・デイケアで働く看護師は、利用者さんの健康管理を行います
・バイタルサインのチェック、体調把握
・投薬管理
・医療行為が必要な利用者さんの処置
・口腔ケア
・看護記録
・介護職スタッフのサポート
問題点のある利用者さんの食事・入浴・排泄・移乗動作の確認を依頼されることもありケアを行いながら利用者さんの体調を確認します
たくさんの医療行為はありませんが、看護師と医療的ケアの研修を受けた介護スタッフしかできない行為もあります
例えば経管栄養・喀痰吸引・インスリン注射・ストーマの張り替えなどがあります
デイサービスは病院と違って医師は常駐していません
デイケアは医師の配置が必要ですが、病院・診療所併設のデイケアだと医師が施設内に常駐していないことが多いです
利用者さんが転倒して怪我をしたり、利用中に体調不良なった時には看護師が適切な処置や判断をする必要があります
デイサービス・デイケア一日の例
施設により違いはあると思いますが,
デイケアセンターの一日を例としてご紹介します
スケジュール | 看護師業務 | |
8:30 | 出勤・朝礼・送迎準備 | 当日利用者の情報収集 お茶準備 送迎に出る場合もあり |
9:00 | 利用者さんのお迎え・配茶 バイタルチェック・体調確認 | 家からの記録を確認 体調不良者がいないかチェック 持ってきているお薬の確認 コロナ渦では発熱 風症状の利用者さんを隔離する場合あり 体調不良者・感染疑い者の対応 |
10:00 | 朝の会・入浴開始 体操・レクレーション 機能訓練 | 入浴後の処置がある利用者さんの対応 体調が気になる利用者さんの状態観察など レクレーションや入浴介助のサポートなど |
11:45 | 昼食 | 配膳・セッティング・食事介助・投薬 |
12:30 | 休憩 | スタッフが交代で休憩して フロア内が無人にならないように調整 |
13:30 | 趣味活動・機能訓練 | 看護記録 活動のサポートなどその時に応じて対応 |
15:00 | おやつ | 配膳・セッテインング・食事介助 |
16:00 | 利用者さんの見送り 送迎出発 | 乗車する順番を考えて安全に行動する 送迎に行かないスタッフは後片付け 翌日の準備・記録など |
17:00 | 送迎終了 | |
17:30 | 終礼・退勤 | 利用者さんの状態や自宅の様子など 情報共有する事項を伝達する |
デイサービス・デイケア看護師の給与はどれくらい?。
厚生労働省「令和2年度介護事業経営実態調査結果」によると、デイサービスで働く看護師の平均月収は正看護師35万4,319円・准看護師32万6,620円です
平均月収×12ヶ月で計算すると、正看護師の年収は425万1,828円、准看護師の年収は、391万9,440円と想定されます
上記はあくまで平均月収です
私が勤めていたデイケアセンターは地方では規模が大きかったのですが、給与は月に6~7万ほど少なかったです
病院看護師の月収は平均450万円ほどと言われていますので、病院看護師より低い結果となっています
理由として夜勤や宿直、早番、遅番がないからと考えられます
給与面だけで見ると給与は少ないですが、規則的な生活を送れることや、重傷の患者さんの対応をしないというプレッシャーの少なさはあります
平日の規則的な夜勤がない仕事のため、利用者さんがいる9時~16時の短時間で募集されている施設もあります
その場合は正規雇用ではなく非正規雇用のパートタイムの勤務もあります
地域によって差はありますが、おおよそ時給1,200〜2,000円くらいが多いようです。
50代看護師の転職は可能なのか
50代の体力で大丈夫?
デイサービスやデイケアには介護スタッフがいるため看護師が入浴介助やトイレ介助などをすべて行うわけではなく、利用者全員の様子を見ています
体力が必要な移乗動作・入浴介助やトイレ介助は介護スタッフが頼りになります
体力に自信のない50代の看護師にも働きやすい職場となります
人員基準で看護師の配置が必要なため、「看護師の資格をもったスタッフ」の需要があり定年後で働いている看護師さんもいます
他職種のスタッフとのかかわり方
一部の医療的なケアを看護師が行うくらいで、基本的な仕事内容は介護スタッフとあまり変わりません
介護は介護スタッフだけが行うものではありませんので、協力しあってケアしていく必要があります
他のスタッフの動きにも注意して仕事をしていないと、利用者さんがいるフロア内にスタッフが誰もおらず転倒事故につながった、となる可能性もあります
お互いに声を掛け合って仕事をしていくとよいでしょう
家庭と両立可能?
日勤の平日のみの事業所が多いため、日曜祭日は休みが取りやすい職場です
お盆やお正月も休みが取りやすい環境です
利用者さんは時間になると帰られるため残業もあまりなく、家庭との両立はしやすい職場と言えます
デイサービスやデイケアで働くメリット・デメリット
メリット
ワークライフバランスが改善し、子育てや介護に取り組みやすくなる
・日勤だけの勤務で夜勤がない
・日曜祭日がお休みの施設が多い
看取りや緊急対応が少ない
・利用者さんは基本的に病状が安定して自宅で生活する高齢者
・送迎前の体調不良時は欠席される場合がほとんど
・急変時は初期対応を行い救急搬送されることが多い
楽しんで仕事ができる
・季節ごとに行事があって楽しい
・自分の趣味がレクレーションにることもある
・コミュニケーションが取れる方が多い
定年後も続けることが可能
・嘱託やパートで仕事を続けられる
・60歳すぎても需要がある
夜勤がなく規則的な生活で体調も整えやすいことがデイサービスやデイケアで働くメリットです
利用者さんが楽しくリハビリを行う施設のため、明るい雰囲気
お話好きな利用者さんも多く、一日があっという間にすぎたりします
看護師として頼られることも多いためやりがいのある職場といえます
デメリット
給与面では病院より下がる場合が多い
・夜勤がない
・病院と介護施設との仕事内容の違い
医療職として判断を求められ責任が重い
・医師が常駐していない
・看護師の人員基準が少ない
前述したように給与面では下がる傾向にあります
デイサービスやデイケアでは看護師数が少なく医療的な相談相手があまりいません
看護師は自分一人という施設もあります
「血圧が高めですが入浴してもいいですか?」
「出血があります、みてください」
など介護スタッフから報告されると自分で判断する場面があります
知識や経験が求められる職場といえます
利用者さんのケアのほとんどは介護スタッフで行われます
しかし忙しかったり状態を見て欲しい時など看護師で行う場面もあります
入浴介助などの体力が必要なケアや、レクレーションの進行など慣れない仕事をする機会もあるでしょう
50代看護師がデイサービス・デイケアで求められているもの
医療のエキスパートとしての役割
デイサービスやデイケアでは医師は常駐していません
看護師も人数が少なく、自分で医療的な判断をする場面もあります
利用者さんの健康管理する上で看護師としての一般的な知識や技術が欠かせません
利用者さんをよく観察し短い利用時間でアセスメントします
ご本人やご家族も気づかなかった病気や変化に気が付き助かったという事例もあります
50代看護師ならではの経験が役立つことも多いでしょう
コミュニケーション能力
デイサービスやデイケアでは利用者さんや家族とのコミュケーションをはじめ、介護やリハスタッフ、担当医師やケアマネージャーなどたくさんの人と関わりがあります
それは利用者さんが自宅で健康に生活している間続くことが多く長期にわたります
たくさんの人との関わりの中、看護師が間を取り持つ機会も多く、経験豊富な50代看護師が臨機応変に対応できる場面があるでしょう
まとめ
いかがでしたでしょうか
デイサービスやデイケアは利用者さんが残された能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう援助します
利用者さんの生活向上はもちろん、家族の身体的及び精神的負担の軽減のお手伝いをする素晴らしい仕事です
今後要介護者は増加すると予想されており、通所介護のニーズもますます増えてくるでしょう
看護師の役割は大変かもしれませんが、楽しくやりがいのある仕事ですので興味をもっていただけたらうれしいです
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